オンラインでの学会開催は便利な面もありますが、やはり現地開催ならではのメリットもあります。そこで、オンライン開催だけではなく同時に現地開催もできる、「ハイブリッド開催」はいかがでしょうか。今回は、オンライン開催と現地開催双方のいいとこ取りができる、学会のハイブリッド開催を解説します。学会の「ハイブリッド開催」とは?ハイブリッド開催とは、「hybrid(雑種の、混成の)」の意味のとおり、現地とオンラインの2つの方法での同時開催です。学会や会議などで使われます。実際に会場に足を運び現地で参加する現地開催と、オンライン上で参加するオンライン開催。異なる2つの方法を組み合わせることで、双方の欠点を補い合いながらメリットを増やすことができる方法として注目されています。学会をハイブリッドで開催するメリット学会をハイブリッド開催にすることで、どのようなメリットがあるのでしょうか?現地参加orオンライン参加で好きな参加方法を選べるハイブリッド開催の最大のメリットは、参加者が参加方法を選べることです。選択肢があるので、参加者の多様なニーズに応えられます。まずオンライン開催なら、会場が遠方で足を運べない方でも、インターネット環境とパソコンさえあればどこからでも参加できます。家庭の事情などで外出が難しい方も、自宅から参加できます。反対に、オンラインでの参加に不安がある方は現地参加を選べます。オンライン会議ツールが浸透してきたとはいえ、ツールの操作に不安がある方、もしくは自宅だと落ち着いて視聴できる環境が整っていない方もいるでしょう。そのような方々にとって、オンラインのみではなく現地参加もできることで、参加のハードルが下がります。学会運営システムの「らくらくカンファレンス」の利用者からも、・子育て中だとなかなか遠方まで足を運べないので、オンラインで発表が聞けると助かる・現地だと会場が狭くて落ち着いて聞けないこともあったが、オンラインだと気にしなくて良いのでしっかり発表に集中できたなどの意見がありました。参加人数が増やせる参加方法の選択肢が広がると、結果的に学会の参加人数の増加にもつながります。参加者が自分に合った参加方法を選択できることで、遠方にいて参加できなかった方が参加できるようになったり、オンラインに抵抗があった方が現地参加できるようになったりします。緊急時の対応ができる不測の事態が起こっても、臨機応変に対応できるのもメリットです。現地開催のみだと、世の中の状況次第で開催が直前にキャンセルになる可能性があります。会場への人の収容ができなくなるからです。その点ハイブリッド開催なら、もともと現地開催だけではなくオンライン開催の準備も平行して進めているため、急に現地開催が不可能になったとしても、すぐにオンラインのみの開催に切り替えることができます。参加者の生の反応が見られる現地開催の良い点は、会場に参加者がいるので、参加者の生の反応を確認しながら発表できることです。うなずいたり表情が変わったりと、目の前に聴衆がいることで発表しやすくなることもありますよね。一方オンライン開催だと、そのような参加者の反応が見えにくいので、どうしても発表しづらいと感じる方もいるかもしれません。ハイブリッド開催なら、現地にも人がいる状態です。発表者は、同じ空間にいる他の参加者の生の反応が見えやすいので、進行しやすくなります。その状態をキープしながら、オンライン参加で参加者を増やせるのはハイブリッド開催ならではのメリットです。さらにオンラインの参加者にとっても、現地の臨場感や空気感が伝わりやすく、良い意味で緊張感をもって参加できます。オンライン参加だと、現地参加よりも疎外感を感じてしまいがちですが、現地の参加者の反応が見えることで少し解消されるかもしれません。会場の密集度を下げられる密集した空間を避けて大規模な学会が開催できるのも、ハイブリッド開催ならではのポイントです。現地開催のみだと、参加者全員が会場に集まるので、どうしても会場の密集度が上がってしまいます。季節的にインフルエンザなど流行する時期などは、密集度が上がりすぎないように参加者数を調整する必要があることも。その点ハイブリッド開催なら、現地に集まる人の数を減らしつつ、同時にオンラインでも参加者を募ることができます。全体的な参加人数を減らすことなく、かつ現地の密集した状態を避けられるので良いことづくしの方法です。小さな会場でも実施できるオンライン参加者が増えることで、会場の現地参加者の数が減ります。そのため、現地開催だけの場合に比べて大規模な会場が不要になり、小さな会場でまかなえます。それにより、会場のレンタル費用や機材費などを抑えられるのも大きなメリットです。学会をハイブリッドで開催するデメリット一方で、ハイブリッド開催ならではのデメリットもあります。運営オペレーションが複雑になる現地開催だけではなくオンラインでの開催もあるため、事前準備から当日の進行まで、常にそれぞれの対応を同時進行で行わなくてはいけません。そのため、スケジュール管理や機材・備品の準備、人員配置などがどうしても複雑化します。特にハイブリッド開催だと、現地とオンラインで適宜連携しなければならない場面も多いので気を付けなければなりません。さらに会期後にオンデマンド配信の予定があれば、配信する動画の録画も必要です。複雑な運営オペレーションを円滑に回すために、専門業者に外部委託したり、学会運営システムを導入したりする方法もあります。トラブルリスクが上がるオンラインの配信もあるため、どうしても配信トラブルのリスクがあります。発表中に音声が途切れる、ハウリングする、映像がフリーズするなどが考えられます。もちろんこれらの配信トラブルは、オンラインのみの学会でも起こり得ます。ただしハイブリッド学会だと、質疑応答や発表など適宜オンラインと現地を連携しなければいけないのが異なる点です。例えば、発表者が会場にいて、オンラインからの参加者がビデオ電話から質問をした場合、参加者の声が会場では聞こえない……といった、ハイブリッドならではのトラブルが想定できます。コストがよりかかってしまう現地開催とオンライン開催両方を行うことで、それぞれに人件費や機材費などもかかります。そのためどちらか1つだけの開催よりもコストはかさみます。特に現地開催では会場費に大きくコストがかかります。会場で参加者を誘導するスタッフや進行するスタッフなどの人件費も必要です。加えてオンラインでの配信機材や対応スタッフの人件費もかかるため、総合的にかなりの費用がかかってしまいます。学会をハイブリッドで開催する際の注意点最後に、学会のハイブリッド開催の注意点をご紹介します。十分な人員を確保しておく2つの異なる開催の準備を同時進行するので、どちらか1つだけの開催よりも人手が必要になります。オンラインだけの開催に比べ、特に当日の会場での人手を確保する必要があります。大学の学生にボランティアをお願いするなど、事前に十分な人員を確保しておきましょう。またオンラインでも、当日配信トラブルが起こった際に対応するスタッフを配置しておくことが大切です。当日の配信トラブルについては次で説明します。緊急時の連携を整えておくハイブリッド開催は現地とオンラインと開催場所が2倍になるので、その分当日のトラブルリスクも増えます。現地開催だと、発表者が何らかの理由で会場に来られない、プロジェクターやマイクの不具合が起こって発表が滞るなどが起こりえます。オンラインだと、不安定なインターネット環境による配信の遅延やフリーズ、映像が見られない、参加者が参加URLから入室できないなどが考えられます。当日起こる可能性があるトラブルを先にラインアップしておき、もし発生したら誰がどのように参加者に連絡するのか、対応フローと担当者をあらかじめ決めておくと安心です。オンライン参加者も参加しやすい工夫をしておくハイブリッドで開催すると、どうしてもその場にいないオンライン参加者のほうが疎外感を感じやすくなってしまいます。現地にいる参加者はもちろん、オンラインの参加者も同じように一緒に参加していると感じられる雰囲気づくりが大切です。例えばオンライン参加者の表情がわかるよう、会場に大きなモニターを設置して参加者を映す方法があります。こうすることで、オンライン参加者が自分も参加していることを実感できます。現地にいる発表者にとっても、多くの参加者の反応や表情が見やすいので進行しやすくなります。また発表内容に対する質疑応答に関しては、オンラインの参加者も質問しやすい環境を整えておきましょう。オンライン参加者だけの質疑応答タイムを設ける、発表者や担当のスタッフがチャットで届く質問をチェックして読み上げるなど、オンライン参加者でも質問しやすい工夫で議論はより盛り上がります。会場の音響設備を整えておくハイブリッド開催では、現地開催だけの場合よりも会場の音響設備をしっかり整えておくことが大切です。発表者が現地にいる場合は、発表者の声がオンラインの参加者にも届くようにマイク設備を整えておきます。マイク音量が小さかったりオンライン上でうまく聞こえなかったりすると、せっかくの発表内容がオンライン参加者には聞こえなくなってしまいます。さらにオンライン参加者が質疑応答などで発言する際、会場でのハウリングには要注意です。オンライン上の音声を会場全体に聞こえるように大きくすることで、会場のマイクがそれを拾ってしまいハウリングすることがあるので、音量設定に気を付けましょう。反対に発表者がオンライン参加なら、現地とオンライン両方で発表者の話がクリアに聞こえるように設定します。インターネット回線の確認をしておく前述のとおり、オンライン開催では安定したインターネット環境が重要です。特にハイブリッド開催では、学会が開催されている会場に安定したインターネット回線が通っているかは重要ポイントです。インターネット回線が不安定だと、大事な発表の途中で音声や映像が途切れてしまったりフリーズしてしまったりと、配信トラブルになりやすいです。会場の安定したインターネット回線と、大人数の参加でも耐えられるオンライン会議ツールは必ず準備しておきましょう。コストを削減できる部分がないか検討する前述のとおり、ハイブリッド開催にすると、現地やオンラインのみの開催よりもコストは大きくかかってしまいます。優先すべき点を洗い出し、コストを削減できそうな部分はないかの検討も重要です。例えば、・オンラインでの参加者の質疑応答は、ビデオ通話ではなくチャットのみにする・現地でのポスター掲示は行わず、オンラインのみの掲示にして会場費を抑える・同時配信する会場数を減らすなどの工夫ができます。学会の開催には「らくらくカンファレンス」がおすすめ学会の開催なら「らくらくカンファレンス」がおすすめです。らくらくカンファレンスは、学会の開催を楽にするシステムです。デジタルポスターをオンライン上に掲載できるのでその分現地の会場費を抑えられたり、会場の設営が楽になったりします。発表者がポスターを印刷する手間も省けるので事前準備も楽になります。また学会開催中も、現地とオンラインの円滑なコミュニケーションをサポートするコメントやメッセージ機能が充実しています。開催当日まで参加登録受付も可能なので、参加人数を増やしやすいのもポイントです。ハイブリッド学会でも現地開催でも、便利ならくらくカンファレンスをぜひ試してみてください。詳しくはこちら▼らくらくカンファレンス|現役研究者が監修した学会の開催システム