研究計画書は、自身の研究の目的や方法、想定されるメリットなどをまとめ、第三者に研究内容を伝えるための大切な書類です。主に大学院入試で必要になります。重要な書類であるものの、内容や項目がいまいちわからない方もいるかもしれません。本記事では、研究計画書の概要や書き方のコツなどを解説します。研究計画書とは?研究計画書とは、大学院入試に必要な書類の1つです。内容は、・大学院入学後に行う予定の研究内容・その研究を行うための今後の計画です。研究内容に関しては、これから行う予定のものだけではなく、今まで自分がどのような研究をしてきたかも含みます。これらの内容を、大学院や研究科で決められた様式に従ってまとめた計画書です。研究計画書の目的研究計画書を作成する目的は、自分の行う研究内容を、大学入試で第三者にわかりやすく説明することです。大学院入試では、口述試験があることが多いです。口述試験とは、面接官と受験者が向き合い、面接官からの質問に対して口頭で直接答える試験です。この大学院入試の口述試験のなかで、面接官である教授に、自分の今まで行ってきた研究、もしくは大学院入学後に行う予定の研究内容を説明しなければなりません。研究計画書があることで、研究内容をわかりやすく伝える手助けになります。研究計画書を受け取った大学院側は、そこに書かれた研究内容や計画が、その大学院で叶えられそうか、ふさわしいかを判断します。また大学院入試の他にも、研究者が研修資金を申請する際に、自分の上司に対して研究内容を説明する際に使われることもあります。研究計画書の構成研究計画書の基本的な構成は下記のとおりです。①研究タイトル(テーマ)②研究の背景と目的③研究の方法④予想される成果⑤参考文献研究計画書のフォーマットは大学院や研究科で決まっていることもあり、上記項目と順番や項目の分け方が異なる場合もあります。指定のフォーマットがある場合は、その内容に従って作成してください。また、研究計画書のこれらの項目を書く際には、抄録の書き方もぜひ参考にしてください。関連記事:学会の抄録とは?|書き方や注意点をくわしく解説研究計画書の上記項目を、それぞれ詳しく解説します。①研究タイトル(テーマ)研究計画書には、研究内容のテーマとなるタイトルが必須です。研究内容を要約して、30文字ぐらいを目安にタイトルを付けましょう。タイトルは読者の興味を引くための重要なもの。タイトルをパッと見て研究内容がわかり、興味を引かれるものにする必要があります。タイトルの基本的な書き方は、「○○における△△について」「○○における△△の研究」のような形になります。②研究の背景と目的続いて、研究の背景と目的も明記します。背景は、研究に至った動機や問題点など。目的は、この研究によって明らかにしたいことです。背景で提示した問題点や課題などを解決することで、どのようなメリットがあるかを記します。なお、背景や目的を提示する際は、専門書や論文などを引用することで説得力が増します。先行研究があれば、その先行研究で解決されていないポイントと、そこを解決することで新たに得られるメリットを書きましょう。③研究の方法研究の方法は、実際にどのように研究を進めるかの方法を具体的に書きます。研究対象となる場所や人の属性を記載し、アンケートやインタビューなどデータの収集や分析方法も明記します。方法を記載することで、どのように研究を進めるか、読者が具体的にイメージできることが重要です。例えばデータの収集方法に関しても、単に「アンケートを行う」だけではなく、「国内在住の40代~50代のエンジニアの男性50名に、メールでアンケート内容を送信して返信してもらう」など、対象や方法を具体的に書きましょう。④予想される成果研究計画書では、この研究を行うことで得られそうな成果も明記します。あくまでも予想なので、確実に得られる成果ではなくてもOKです。「この研究を行うことで、おそらくこのような成果が得られるだろう」という、現時点での見解を記し、研究の妥当性に説得力をもたせましょう。例えば「この研究をすることで○○の課題を解決できるだろう」のように、研究によってどのようなメリットや解決できるポイントが考えられるかを記載します。⑤参考・引用文献最後に、参考や引用文献についても記します。ここまで記した研究内容のなかで参考や引用した文献や論文などがある場合は、最後に必ずその旨を明記しましょう。引用元の記載がないと、盗用とみなされるリスクもあるので注意してください。関連記事:論文の盗用(剽窃)とは?チェックツールや防ぐための方法を解説研究計画書を作成するポイント続いて、研究計画書を作成する際のポイントを解説します。研究目的やビジョンを明確に書く研究計画書では、研究をする目的や、実現したいビジョンを明確に書くことが求められます。目的やビジョンがはっきりしており、さらに読者にも正しく伝わることで、その研究をする意義が伝わり共感されやすくなるでしょう。そのためには、項目の「②研究の背景と目的」で、問題点や、その問題点を解決することで得られるメリット、実現できることなどをわかりやすく書くことが大切です。できるだけ具体的に書く研究計画書で重要なのは、読者にできるだけ詳細に研究内容をイメージしてもらい、研究のメリットを伝えることです。そのためには、研究計画書の各項目をできるだけ具体的に書くことが求められます。例えば「④予想される成果」の項目で、「この研究で成果を出すことで、多くの患者を救えるでしょう」と書くよりは、「この研究で成果を出すことで、今までの研究で課題だった○○の点を改善し、患者が△△できるようになるため、××というメリットが生まれるでしょう」のように、課題やメリット、対象などを具体的に記すことで、読者もイメージが付きやすくなります。独自性や新規性のある内容にする研究計画書に書く研究内容は、独自性があり、今までになかったような新しい視点があるほうが読者の興味を引きやすいです。そのためには、先行研究の内容をよく調べて、まだ解決されていない点や、触れられなかった点などを見つけることが重要です。もしくは、先行研究を調べるうちに、過去の研究成果を覆す点が見つかるかもしれません。国内だけではなく、海外で発表された論文まで調べるのもポイントです。今まで誰も注目しなかった点を見つけて研究計画書に記すことで、より魅力的な研究計画書にできます。具体性のある記載で、研究内容をわかりやすく伝える研究計画書を研究計画書は、第三者に自分の研究内容をわかりやすく伝えるために欠かせない書類です。本記事を参考に、具体的に内容を明記することで、誰にとってもわかりやすく研究のイメージが付きやすい研究計画書になるでしょう。ちなみに、「らくらくカンファレンス」は、学会開催の準備や当日の進行をスムーズにサポートするツールです。公式Webサイトでは、「お役立ちコラム」で研究者に有益な情報も定期的に発信しています。ぜひご覧ください。詳しくはこちら▼らくらくカンファレンス|学会の運営をワンストップ管理