さまざまな国から参加者が集う国際学会。国際学会でもポスター発表が行われますが、一般的な学会とはどのように違うのでしょうか。また国際学会ならではのポスター発表のコツはあるのでしょうか。本記事では、国際学会でのポスター発表のコツや、発表時に使える英語フレーズなどを解説します。国際学会とは「国際学会」とは、国内外から参加者が集う学会のことです。海外で開催する学会だけではなく、日本国内で開催する学会でも海外からの参加者がいれば「国際学会」となります。国際学会では、さまざまな国の研究者が集うことで、海外の市場や最新技術などの情報を得やすくなります。また多くの参加者に対して自分の研究成果をアピールする貴重な機会でもあります。海外の企業と共同研究するきっかけになるかもしれません。国内での学会のポスター発表と、国際学会のポスター発表の相違点国内だけの学会と国際学会では、どちらもポスター発表の形式はほとんど同じことが多いです。ただし、学会によってはポスターの大きさが異なることがあります。国内の学会では、ポスターのサイズはA0(ゼロ)サイズが主流です。A0の大きさは841×1,189mm。これは、ポスターを掲示するパネルの大きさに合わせているためです。一方、海外の学会では、A0よりもさらに大きな1,200×2,400mmという大きさのポスターが多いようです。またポスターのサイズ規格も、日本のように「mm(ミリメートル)」ではなく「ft(フィート)」や「inch(インチ)」で記されていることもあるので注意しましょう。1 ft(フィート)=12 inch(インチ)=30.48cm です。一口に国際学会といっても、国内で開催するか海外で開催するかでポスターの規格などは変わってきます。海外で開催される場合は、上記のように現地に合わせた規格のポスターにすることもあります。また、国際学会は参加者が多国籍です。そのため英語でポスターを作成し、英語でポスター発表や質疑応答をする必要があるのも大きな違いです。英語ならではの言い回しや難しい専門用語などがあるため、日本語だけの国内の学会よりも、どうしてもポスター発表の難度が上がります。国際学会でのポスター発表のコツ国際学会でも、ポスター発表があります。さまざまな国から参加者が集う国際学会では、ポスター発表でどのような点に気を付ければ良いのでしょうか。国際学会でのポスター発表のコツを解説します。わかりやすいビジュアルを使用する国際学会でのポスター発表では、どうしても言語の壁があります。そこで図版や写真、グラフなどの視覚的情報をうまく使うことで、言語がわからなくてもビジュアルで理解しやすくなります。視覚的情報があることで、英語で言葉でうまく伝えられなくても、図版を指して解説することで海外の参加者も理解しやすくなり、発表者の負担も減らせるでしょう。専門用語を確認しておくあらかじめ、専門用語の英語での言い方を確認しておくのも重要です。学会の分野は医療系、薬学、物理学などさまざまありますが、それぞれに英語の専門用語があり、普段は聞き慣れない単語であることがほとんどです。さらに専門用語は発音が難しいものも多いため、どのように発音するのか事前に声に出して確認しておくと安心です。ゆっくり喋ることを意識するできるだけゆっくり話すことも大切です。日本語の感覚で英語で話すと、どうしても早く話してしまいがちです。あまり早く話してしまうと参加者が聞き取れないこともあり、聞き返されることもあります。英語のネイティブスピーカーの発表を見ると、常に意識して間を取ったり、ゆっくり話したりすることが多いです。重要な箇所はあえてゆっくり話す、話したあとに参加者に考えさせる間を入れるなど、日本語で発表する際にはあまりないやり方かもしれません。しかしこの点を少し意識するだけでも、参加者に発表内容が伝わりやすくなることもあります。ネイティブスピーカーと同じ速さで話す必要はありませんが、話すスピードや間を少し意識してみると良いでしょう。TEDなど海外のプレゼン番組を見て、ネイティブスピーカーの話すスピードや間の取り方の感覚をつかむのもおすすめです。質問がわからなければ聞き返すポスター発表では、発表内容に関して参加者から質問されることも多いです。ネイティブスピーカーに英語で質問されたら、一度では聞き取れなくて当然です。大切なのは、質問された内容が聞き取れずわからないまま進めるのではなく、正直に「もう一度ゆっくり聞いてもらえますか?」と聞き返すこと。ネイティブスピーカーの会話を聞いていると、聞き取れなかったときに「Pardon?」「Sorry?」など頻繁に聞き返していることがわかります。質問内容を聞き取れなかったことを悪く思わずに、わからなければしっかり聞き直しましょう。質問内容を正しく把握できることで、そのあとの有意義な意見交換につながります。国際学会のポスター発表で使える英語フレーズ例最後に、国際学会でのポスター発表で使える英語フレーズをいくつか紹介します。今回ご紹介するフレーズの他にも、英語ではさまざまな言い方があります。また完璧な文法で言えなくても、何となく単語やフレーズの一部を覚えているだけでも伝わることも。参考までにぜひ覚えておきましょう。通りかかった参加者に話しかけるポスター発表では、参加者が自分のポスターの前で立ち止まってくれることで交流が始まります。自分のポスターの前で足を止める人がいたら、など挨拶をしてから、などと切り出して、ポスターの詳しい発表に興味がありそうか聞いてみましょう。最初に話しかける挨拶は、「Hi」とも言えますが、少しカジュアルな印象が強いです。学会のポスター発表というアカデミックな場では、「Hi」よりも「Hello」のほうが丁寧です。また、学会には同じ分野の研究者が集まるため、以前他の学会で会ったことがある人に会う可能性もゼロではありません。もし以前会ったことがあるような相手が来た場合は、と尋ねることもできます。簡単な自己紹介参加者がポスターの前で足を止めて発表を聞く流れになったら、まずは簡単に自己紹介をしましょう。など、自分について紹介します。自分について紹介するときは、基本的に「I’m(I am)~」で話し始めればOKです。海外で開催される国際学会に参加したときは、「I'm ○○(自分の名前)from ××(所属大学や企業の名前) in Japan.」と、最後に日本から来た旨を付け加えるとよりわかりやすいです。発表の始め簡単な自己紹介が済んだら、さっそく本題のポスター発表に移ります。ポスター発表する際に大切なのは、まず結論から述べることです。場合にもよりますが、基本的に英語で話す際は、前置きを長々と話すことは避け、まず結論から述べることが多いです。まずは、のように結論や重要な点を延べ、続けてその結論に至った経緯や理由を話し始めましょう。先に結論を述べることで、参加者の興味をより引きやすくなります。質疑応答と議論ポスター発表は、少人数の参加者と直接コミュニケーションを取って議論を深められるのが、大きなメリットです。そのためにも質疑応答の時間は大切です。ポスター発表をひと通り終えたあと、最後に質疑応答の時間をまとめて取るなら、ポスター発表の冒頭で、と伝えておくと良いでしょう。発表の途中にいつでも質問を受け付けるのなら、最後の「after explanation(発表後に)」を「anytime(いつでも)」に変えて、と伝えればOKです。参加者から質問を受けたときは、まず、と、質問してくれたことに感謝の気持ちを伝えましょう。また相手の質問内容が聞き取れなかったり理解できなかったりしたときは、などと聞き返せばOKです。「can you~」と尋ねるよりも、「could you~」と尋ねるほうがより丁寧に聞こえるので、学会の場では後者がおすすめです。自分の発表に対して参加者の意見を聞いてみたいときは、のように聞いてみると良いでしょう。ここでも、「I want to~」より「I would like to~」と言うほうがより丁寧な印象になります。事前準備をしておくことで、有意義な国際学会のポスター発表を国際学会でのポスター発表は、英語を使うため難度は高いですが、世界中の研究者と意見を交わせる貴重な機会です。英語での間違いを恐れずに、コミュニケーションを楽しみながら有意義なポスター発表にしましょう。ポスター発表含め、学会の事前準備や当日の進行を効率化したいなら「らくらくカンファレンス」がおすすめです。オンラインでのポスター発表のコミュニケーションもしっかりサポートします。詳しくはこちら▼らくらくカンファレンス|ポスター発表での参加者との円滑なコミュニケーションもサポート