学会の運営準備は、長期間かかるうえに準備が多岐にわたります。学会運営の担当になっても、初めてだとまず何をすればいいのか迷いますよね。学会の開催方法も、現地開催に加え、オンライン開催(WEB学会)やハイブリッド開催などの選択肢が増えました。(ハイブリッド開催について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください:学会のハイブリッド開催|現地とオンラインのいいとこ取りの方法)そこで今回は、現地開催がある学会(現地開催のみ、もしくはハイブリッド開催)の運営の準備やスケジュールを、わかりやすく解説します。オンラインのみの開催(WEB学会)の場合の準備は、下記の記事を参考にしてください。参考記事:オンライン学会(WEB学会)の運営|学会運営のポイントやスケジュールを解説学会の開催までのスケジュールまずはスケジュールとやるべき準備の目安を順番に解説します。学会によって準備内容やタイミングが異なることもあるので、適宜調整して準備を進めましょう。学会開催 2~1年前学会の準備は、開催の1、2年ほど前から始まります。この時点でまずやるべきことは主に下記の5点です。学会の実行委員会の立ち上げと事務局の設置収支予算案の作成会場の予約当日までのスケジュール表の作成来賓客への招待状の送付まず学会の実行委員会を立ち上げ、各担当を決めます。基本的な担当は、実行委員長会計広報展示プログラムなどです。同時に学会事務局を設置し、問い合わせ窓口を作ります。さらに収支予算案を出し、概算で会場費項目を算出します。そのうえで、下記項目を決めましょう。学会の開催日時開催方法(現地かオンラインかハイブリッドか)開催会場(現地もしくはハイブリッド開催の場合)参加可能人数交通の利便性が良く人気のある会場は、何年も前から予約が埋まってしまうこともあります。希望通りの会場にするためにも、開催日程と参加人数が決まったら早めにおさえておきましょう。会場が決まったら、遠方からの招待来場者のために会場周辺の宿泊施設も確認して、いくつかピックアップできるとベターです。これらの詳細が確定したら、当日までのスケジュール表を作成します。さらに来賓客に招待を送ります。学会開催 1年前続いて学会開催の1年前くらいまでに、今回の学会の公式Webサイトを作成して公開します。サイトには学会の開催日時と開催場所、開催方法を記載します。公式Webサイトが公開できたら、次にすることは関係各所にWebサイトを告知し、協賛の依頼をすることです。あとはシステムやツール類を決めます。参加申し込みや参加費のオンライン決済、演題登録を行うシステムをこのタイミングで決めておきましょう。加えてハイブリッド開催なら、発表を中継するオンライン配信ツールや、ポスター資料をWeb上に掲示するオンラインプラットフォームも決めます。ちなみに「らくらくカンファレンス」なら、参加申し込みや演題登録、ポスターのオンライン掲示もすべて1つのシステムで完結でき、スムーズな学会運営準備ができます。詳しくはこちら▼らくらくカンファレンス|現役研究者が監修した学会の開催システム学会開催 半年前学会開催の半年ほど前には、一般参加者の申し込み受付と参加費回収を始めます。同時に演題の登録受付も開始します。会場の下見とレイアウト決めも行いましょう。実際に会場に足を運び、学会当日を想定して会場内をチェックします。下見のチェックポイントは、例えば、備品や機材は揃っているか(足りなければレンタルする)ポスターを貼るエリアは十分にあるか会場のバリアフリー設計に問題はないか(高齢者や車いすなどの参加者が来ることを想定)などの点を細かくチェックします。それらを踏まえて会場のレイアウトを決めましょう。決めるのは、受付、講演者の控室、講演するスペース、飲食スペースなどです。これらに加えて、ハイブリッド開催ではオンライン配信用のカメラやパソコン、音響機材などを設置する場所も必ず確認します。学会開催 3ヶ月前学会開催の3ヶ月前になると、演題登録を締め切って採否を決定します。演題が確定したら、当日のプログラムを作成して参加者にも共有します。プログラムはPDFデータにして、オンライン上での共有が多いようです。会場面では、事前に決めた会場レイアウトをもとに、当日の会場内の人員配置と、発表の台本を決めます。確定したら、当日実際に現場で動くスタッフに事前共有しましょう。学会開催 1ヶ月前学会開催の1ヶ月前になったら、参加者に抄録集を告知します。抄録集とは、学会で発表される論文の抄録(要約)をまとめたものです。人数分印刷して郵送する方法もありますが、印刷代や郵送代が大きくかかります。コストカットのためにも、PDFデータにしてオンライン上で公開する方法がおすすめです。ハイブリッド開催の場合は、参加URLと合わせて、オンライン配信ツールでの視聴方法や、オンラインプラットフォームの使い方も参加者にメールで案内しましょう。オンライン配信ツールを使い慣れていない参加者のためにも、参加URLからの入室方法画面や音声のオンオフ設定チャット機能の使い方(質問の仕方)も一緒に記載すると親切です。学会開催 前日学会開催の前日には、会場で最終リハーサルを行います。実際の会場を使い、当日の講演者やスタッフの動き、搬入する荷物と設置場所、照明や音響のチェックをします。ハイブリッド開催なら、ここでオンライン配信の設備も確認しておきます。特に音声や映像の乱れ、配信遅延など配信トラブルに備えてチェックしておくと安心です。学会開催 当日いよいよ学会開催当日です。当日の主な仕事は、必要機材の搬入搬出と設営、発表の時間管理と進行、さらにトラブルの対応です。特にハイブリッド開催でオンライン配信もあるときは、オンライン接続や配信のトラブルが発生した際に担当がすぐに対応できるようにしておきます。学会開催 終了後学会の開催が終了したら、なるべく早めに、今回の学会の関係各所にお礼の手紙やメールを送ります。あとは収支決算書を作成し、精算処理も行います。オンデマンド配信を行う場合は、その準備にも着手しましょう。学会当日の動画を録画しておき、編集してオンデマンド配信用のデータに加工します。完成した動画を、オンラインプラットフォーム上にアップすればOKです。あとは今回の運営チームで反省会を開き、課題点を次回に活かせるようにまとめます。その課題も含めて次回の学会運営チームに引き継いだら、今回の学会運営業務は完了です。現地開催のみよりもメリットが多いハイブリッド開催ハイブリッド開催にするメリットと注意点を解説します。学会をハイブリッド開催するメリットまず現地開催のみの場合と比較した際のメリットは、参加方法の選択肢が増えて、より多くの参加者が参加できることです。例えば育児中や介護中の方、遠方に住んでいる方、海外にいて日本まで来れない方などでも、オンライン参加ができ参加を諦めずに済みます。さらにハイブリッド開催なら、やむを得ない事態で急遽現地開催ができなくなってしまっても、オンライン配信のみへの切り替えがしやすいです。現地開催だけだと、急遽現地での開催ができなくなった場合は、学会自体中止せざるをえません。しかしハイブリッド開催なら、現地開催と並行してオンライン配信の準備も進めています。そのため、現地開催が急遽できなくなっても、オンライン開催だけに切り替えることができます。ちなみに、オンライン配信のみの開催と比べたメリットは、参加者の反応が見えやすいことです。オンライン配信のみだと参加者の反応が見えづらく、発表しづらいという発表者の方もいますよね。そこでハイブリッド開催で現地開催も同時に行うことで、現地にいる参加者の反応が見えやすくなります。もちろんオンライン上でも、チャットを利用して反応したり質疑応答したりできます。学会をハイブリッド開催する際の注意点メリットが多くある一方で、ハイブリッド開催ならではの注意点もあります。ハイブリッド開催の注意点は主に下記3つです。オンライン配信用に十分な人員が必要オンライン配信のトラブルに備えておくオンラインの参加者も疎外感を感じないで参加できる工夫をするまず学会の準備面では、オンライン配信をすることで、オンライン配信用の撮影、音響、照明などを行うスタッフが必要なので、現地開催のみよりも人手がいります。さらにオンライン配信では、当日予期せぬトラブルが起こることもあります。配信中に音声が聞こえなくなる、映像が乱れるなど、オンライン配信ならではのトラブルを想定して備えておきましょう。また、オンラインの参加者は現地の参加者に比べてどうしても現場の空気を感じづらく、疎外感につながることもあります。オンライン参加者も、現地にいる参加者と変わりなく参加できる工夫が求められます。例えば、質疑応答はオンラインの参加者にも積極的に話しかけてみる、チャットの内容を定期的に拾うなど、オンライン参加者へも常に配慮しましょう。参考記事:学会のハイブリッド開催方法は?現地開催と比較したメリットや注意点「らくらくカンファレンス」ならスムーズな学会運営をサポート学会を現地開催する際は、運営準備が多岐にわたり、時間もかかります。加えて、ハイブリッド開催にするならオンライン配信用の準備も増えます。たくさんある準備を効率良く進めるなら、「らくらくカンファレンス」がおすすめです。参加者の申し込み受付といった事前準備から、学会後のオンデマンド配信まで、学会準備のすべての工程を1つのシステムで完結できます。さらに、オンライン上でも参加者同士の顔を見ながらディスカッションできる、ビデオ通話機能もあります。このビデオ通話機能により、ハイブリッド開催の弱みであるオンライン参加者の疎外感を軽減できるかもしれません。詳しくはこちら▼らくらくカンファレンス|現役研究者が監修した、学会運営をワンストップで支えるシステム