2022年11月30日から12月2日にかけてハイブリッド開催された「第45回 日本分子生物学会年会」。この学会では、事前の参加や演題登録から、当日の要旨・プログラムの確認まで「ONLINE CONF(オンライン カンフ)(現:らくらくカンファレンス)」をご利用いただきました。今回は、この学会で運営を行われた理化学研究所 生命機能科学研究センターの神田元紀(かんだ げんき)先生に、ONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)導入の経緯や、グラフィカルアブストラクト関連機能の開発などについてお話を伺いました。長年手をつけられずにいた運営の課題を、柔軟なONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)で解決したかったーーまずは今回の学会の概要を教えてください。日本分子生物学会は、1年に1度開催している、生物学分野で最大規模の学術集会です。今回は日本生物物理学会との共催でした。「分子」と付いていますが、生物学であれば幅広く対象に入ります。今回の第45回目は幕張メッセとのハイブリッド開催にして、現地参加がメイン、サブでオンライン配信にしたのですが、それでも現地に5,000人くらいは参加していましたね。オンライン配信を導入したのは3年前からです。新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年は完全オンラインのみ、2021年はオンラインをメインとしたハイブリッド開催にしました。そして今回の2022年は、オフライン(現地開催)をメインにしたハイブリッド開催でした。ーー学会開催の前から会期中まで、学会運営側が頻繁にTwitter(X)上で学会に関する投稿や拡散をして、盛り上がっていたのが印象的でした。そうなんです。今回共催した日本生物物理学会で、もともとTwitter(X)での取り組みをしていて、そういうのが好きなスタッフが多かったんですよね。日本分子生物学会年会でも、以前から参加者が当学会について投稿する文化はあったのですが、運営側が公式Twitter(X)アカウントを作って積極的に発信したのは、おそらく今回が初めてだと思います。具体的には、今回の「第45回 日本分子生物学会年会」の公式Twitter(X)アカウントを作成して、参加受付の締め切り日やアンケートのお知らせ、学会当日の様子などを随時配信していました。これは以前から行っていたのですが、投稿に「#MBSJ2022」のハッシュタグを付けることで、他の参加者の方々も同じハッシュタグで学会の様子などを投稿してくれるようになりました。会場に来られない方でも学会の様子がわかり、新しい学会の発信方法を示せたと思います。▼実際の投稿の様子MBSJ2022 第45回日本分子生物学会年会のアカウント( @mbsj2022 )よりーー今まで学会を開催されてきたなかで、課題に感じていた点はありましたか?当学会では、前年の運営から次の運営に業務を引き継ぐときに、細かくマニュアルを渡して毎年まったく同じ方法で運営するわけではありません。毎年運営を任されたスタッフが、それぞれ好きな方法、新しい方法で運営を行います。そのように柔軟に運営を行える一方で、古いやり方がアップデートされずに踏襲されて、問題点や改善点などが整理しにくいという課題もありました。運営を担うスタッフは本来研究者なので、学会運営や企画のプロフェッショナルではありません。それでも毎年運営は滞りなく行われていましたが、今回はたまたま企画が得意なスタッフが揃ったので、全体的に運営方法を見直して整理していくところまで着手できました。あとは参加者に関していうと、やはり子育て中の方や遠方の方が学会開催地まで足を運びづらいことも課題でしたね。加えて、オンラインを導入したことで現地での交流ができなくなってしまったのも大きかったです。ーーそのなかでONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)を導入された経緯と、実際に導入してみて良かった点を教えてください。運営の課題に関しては、まず運営のすべてを見直すところから着手しました。見直すなかで、オンラインでの参加・演題登録、当日の要旨閲覧など、システムの導入も検討し始めたんです。そこで、導入するシステムに関してさまざまな側面で比較検討した結果、AGRI SMILEのONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)の導入を決めました。実際にONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)を導入してみて良かったと感じたのは、システムを作っているエンジニアの方に直接意見を伝えて相談しやすかった点ですね。AGRI SMILEには、自身も学会の参加者である理系研究者が多数在籍しているため、抽象的な要望やアイデア段階でも話が伝わりやすく、相談しやすかったです。他社さんだと、エンジニアの方が前に出てくることが少なくて、「こんな機能を追加してほしい」「これは技術的に可能か?」といった相談がしづらいこともあります。その点AGRI SMILEは要望を伝えやすく、エンジニアの方を含め、コミュニケーションを円滑に取りながら進められました。結果的に、こちらが要望したオプションや機能追加など柔軟に対応いただけたので、とても良かったです。「こういう機能が欲しいんですけど、追加可能ですか?」といったこちらの要望を聞いていただいて、相談しながらいろいろ進められるので助かりました。グラフィカルアブストラクトを導入することで、要旨を検索するハードルが下がり、興味のある演題を直感的に見つけやすくなったーー今回は、ONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)がグラフィカルアブストラクトの関連機能を一緒に開発させていただきました。そもそもなぜ、グラフィカルアブストラクトを導入することになったのでしょうか?先に述べたように、日本分子生物学会はとても規模が大きい学会です。1回の学会で演題数は3,000件ほどと、膨大な数になります。最初から気になる研究者や演題がピンポイントであれば別ですが、特に最初から目的がないなかで、「どの演題が面白そうかな?」「自分の興味のある分野の演題はあるかな?」と要旨を探すとなると、膨大な数のなかから探すのも面倒だし、要旨を一つひとつ熟読するのも現実的ではないですよね。実際には、気になるキーワードに当てはまる演題があるか検索するくらいで、一つひとつの要旨をじっくり読み込んでいる方は、あまり多くないのではないかと思います。そこで、どうしたらもっと要旨を検索しやすくし、自分の興味のある要旨に出会えるかをか考えたときに、グラフィカルアブストラクトの導入という選択肢が出ました。関連記事:グラフィカルアブストラクトの作り方|作成するメリットやコツを解説ーーグラフィカルアブストラクトを導入するにあたって、何かご要望はありましたか?論文投稿のグラフィカルアブストラクトと、できるだけ同じ形式にしてほしいと伝えました。研究者のなかには、論文投稿でならグラフィカルアブストラクトを作成し慣れている方も多くいます。すでに要領がわかっている論文投稿のグラフィカルアブストラクトと画像サイズやフォーマット形式などを統一すれば、新しい作成方法を覚える必要がなくなり、作成のハードルが下がります。あとは、うちの学会は海外からの参加者も多いので、グラフィカルアブストラクト内は基本的に英語だけにしました。グラフィカルアブストラクトが英語であれば、もはや要旨は日本語だけでも良いかと思います。ーー実際にグラフィカルアブストラクトを導入されてみていかがでしたか?イメージしていたとおりのものができたと思いました。参加者からも、「演題が探しやすくなった」「見つけやすくて楽になった」と、とても好評でしたね。ONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)オリジナルの「推しガチャ」機能を付けてもらったのですが、これが特に人気があって。この機能は、登録されたグラフィカルアブストラクトからランダムに表示されていくので、気になったものだけ「LIKE」ボタンを押せば、自動でONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)内のマイスケジュールに演題が追加されるものです。▼「推しガチャ」機能のデモ画面(当時)先程もお話したように、要旨だとなかなか文章を読まないので、内容が頭に入りづらい。でも「推しガチャ」なら、次々にランダム表示されるグラフィカルアブストラクトを「気になる」「興味がない」と直感的に選べるので、そのシンプルさが非常に良かったですね。直感的に選べるこの「推しガチャ」機能は、AGRI SMILEの担当者さんに要望を伝えて一緒に考えて実現できた機能だったので、特に良かったです。会期前のTwitter(X)上で、参加者間でも話題になって盛り上がりました。1年のうち数日間しか使わないシステムだからこそ、慣れた方法で直感的に使えるONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)が役立ったーーグラフィカルアブストラクト以外のONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)の機能は、使用されてみていかがでしたか?普段使い慣れている他のアプリとあまり違いがないように作ってもらうのが要望でしたが、要望通り作ってもらえて満足です。おかげで皆初めてのシステムでもスムーズに使いこなせて、使いやすいと評判でした。ONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)のような学会運営のシステムって、1年のうち使うのはたった3日間ほどなんですよね。365日毎日使い続けるものではない。確定申告みたいな感じですね(笑)なので、皆どうしてもシステムの使い方を忘れちゃうんですよ。1回やり方を覚えて使えても、あとはまた1年後に使うことになるので、どうしてもそうなってしまう。さらに毎年毎年学会の時期に、新しくシステムの使い方を勉強するのも現実的ではないですよね。なので、先程のグラフィカルアブストラクトの「推しガチャ」機能もそうですが、ONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)全体の直感的に操作できるシンプルさが良かったと思います。学会運営システムがより高速化し、検索性が上がれば、ハイブリッド学会の利便性はさらに高くなるーーONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)に今後どのような機能を求めますか?学会運営システムって毎日使うものではないんですよね。なので「最先端の魅力的なシステムで、毎日使いやすい!」は求めていないんです。それよりも、システムとしてとにかくシンプルで、誰にとっても使いやすいことが重要。1年に1回、久しぶりに使うときにもストレスなく、またスムーズに使い始められるシンプルさと明確さが大切です。例えばデザイン性を重視して英語を多用する、何となく格好良いアイコンにする、などではなく、しかるべき情報が明記してあって、文字列で直接的に表現されたデザインが最適ですね。特に研究者にとっては、書いてあるべき事項が書いていないと不満感や不信感につながってしまいます。なので、何か派手な機能をもっと追加してほしい、というよりは、アクセスのスピードがもっと早くなったり、検索性が上がったり、地味だけど効果的な機能があるとより良いと思います。ONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)を導入することで技術が進化していくと、学会の運営や開催はもっとやりやすくなっていくと思います。特にハイブリッド開催だと、現地では他の参加者と交流でき、オンラインでは現地に来られない参加者も参加できる。さらにオンライン上に発表動画なども残しておけるなどメリットが大きいので、今後さらに普及していくかもしれません。さらにグラフィカルアブストラクトをプラスすることで、単なる演題検索を超えた学会体験の可能性も広がります。(インタビューはここまで)ONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)なら学会にもグラフィカルアブストラクトを導入できる!「ONLINE CONF(オンライン カンフ)(現:らくらくカンファレンス)」を導入することで、参加申し込みや演題受付などの事前準備だけではなく、学会当日の要旨検索や参加者同士の交流、会期後のオンデマンド配信まで、学会運営を一元管理できます。特に、今回ご紹介した「推しガチャ」機能を使うことで、グラフィカルアブストラクトから直感的に気になる演題を選べます。さらにマイスケジュール機能に自動追加されるので、気になる演題を逃さず聴講できます。他にも、タイムテーブルや演題の検索結果にもグラフィカルアブストラクトがサムネイル表示されるので、一目で発表内容がわかりやすいのもポイント。グラフィカルアブストラクトのアップロードは、発表者自身で簡単にできます。スムーズな要旨検索や、当日の参加にも使いやすいONLINE CONF(現:らくらくカンファレンス)を、ぜひご検討ください。詳しくはこちら▼らくらくカンファレンス|要旨検索や学会当日のスケジュール管理も効果的に(※本文中の「推しガチャ」機能は、「発見」機能ともよばれます。)(取材・文 = 俵谷千尋)