演題登録期間と締切の決め方|開催日から逆算して設計する

演題の受付を「いつから、いつまで」にするかは、開催準備の早い段階で決めることになります。
このとき、登録期間だけを見て決めると、後の工程で無理が出ることがあります。締切後には、査読を行う学会であれば査読、そして採否の決定、プログラム編成が続きます。締切を遅くすると、これらにあてられる期間が圧迫されます。
この記事では、登録期間を逆算して決める考え方を整理します。
なお、学会システムは、学術集会運営システム(演題・査読・配信・受付)と、会員管理システム(会員名簿・会費・刊行物)の2つに大別されます。この記事では、前者のうち演題受付を扱います。
何から逆算するか
登録期間を決めるときの、主な確認項目の例は次のとおりです。
| 逆算の起点 | 確認すること |
| 開催日 | 動かせない基準点 |
| 査読 | 査読を行うか。行う場合、査読者に依頼してから結果が集まるまでにどれだけかかるか |
| プログラム編成 | 採否が決まってから、セッションの構成・時間割を組むまでの期間 |
| 抄録集の入稿 | 紙の抄録集を作る場合、印刷会社への入稿締切がいつか |
このうち査読と抄録集の入稿は、学会によって有無が変わります。査読を行わない場合は、査読工程を設けない分、採否決定までの期間を短くできることがあります。抄録集を電子版のみにする場合、印刷の入稿締切という制約はなくなります。
逆算の順序としては、開催日から始めて、プログラム編成 → 採否の決定 → 査読 → 締切、とさかのぼります。抄録集を紙で作る場合は、入稿締切が別の制約として加わります。
この逆算で決まるのは締切日です。受付開始日は、そこから別に考えます。募集の告知を準備する時期と、演者が抄録を用意するのに必要な期間を踏まえて決めます。
学会準備全体の時系列については学会運営スケジュール完全ガイド、演題の募集開始から採否通知までの流れについては演題登録はどう進むのか|募集開始から採否通知までの実務で扱っています。
期間の長さをどう考えるか
受付期間の長さに決まった正解はなく、学会の分野や規模によって事情は異なります。
実務では、受付期間を1〜2ヶ月程度に設定する例があります。期間が短いと演者側の準備が間に合わないことがあり、期間を長くしても締切前に登録や問い合わせが集中することがあります。
期間が短い場合と長い場合で、それぞれ別の負荷が生じるという整理です。
短い場合は、応募者側の準備が間に合わず、応募を見送られる可能性があります。抄録の執筆には、共同演者の確認や所属の調整が必要になることもあります。
長い場合に起きやすいのは、締切前の登録と問い合わせの集中です。期間を長く取っても、締切前に集中する動きは変わらないことがあります。
なお、計画段階では、受付開始日を早める方法もあります。この場合、後工程の期間は変わりません。一方、受付開始後に締切を延長すると、その分だけ後の工程に使える時間が短くなります。
ひとつの考え方として、余裕を持った1.5ヶ月前後で設定し、締切延長を見込んだ告知(「延長する場合があります」等)を最初からしておく方法があります。
最初から延長の可能性を告知しておくことで、運用上の柔軟性を保ちやすくなります。
延長できる範囲を事前に確認しておく
延長を検討する例としては、登録数が目標値や過去実績と比べて明らかに少ない場合や、締切直前にシステム上の支障が生じた場合があります。
延長する場合、査読やプログラム編成といった後の工程に影響が及ぶことがあります。そのため、登録期間を決める段階で、どこまでなら延ばせるかを把握しておくと、判断が速くなります。
具体的には、次の点を確認しておきます。
- 査読の期間を短縮できる余地があるか。短縮する場合、査読者に無理が出ないか
- 採否の通知日を動かせるか。すでに告知している場合、変更が可能か
- 抄録集の入稿締切に余裕があるか
延長を決めたあと、応募者へどう告知するかは、演題登録の締切を延長するときの告知|お知らせに入れる項目と伝え方で扱っています。
締切後の扱いと、募集ページへの書き方
登録期間を決めたら、募集ページには日付だけでなく、締切のあとに何ができて何ができないかもあわせて書いておきます。ここが書かれていないと、締切後の問い合わせに個別に答えることになります。
決めておきたいのは次の点です。
- 締切後に、登録内容の修正・取り下げ・共同演者の変更を受け付けるか。受け付けない場合は、その旨を募集ページに明記します。たとえば「演題登録締め切り後の登録内容の修正は一切承りません」と書いている学術大会の募集ページもあります
- 延長した場合の表示。延長したときに、元の締切と新しい締切の両方を募集ページに残している例もあります。どの締切が有効なのかが応募者に伝わるためです
- 一般演題と指定演題で期間を分けるか。分ける場合は、それぞれの期間を書き分けます
もうひとつ確認しておきたいのが、参加登録との関係です。演題登録とは別に、発表者にも参加登録を求める学会があります。発表者本人に参加登録と演題登録の両方を求め、演題登録の募集期間は事前参加登録とは異なると注意を促している例もあります。このように演題登録の期間と参加登録の期間は別々に設定されることがあるため、発表者がいつまでに何をすればよいかを、両方の期間を並べて案内しておくと迷いません。
運用面で確認しておきたいこと
登録期間を運用するうえで、システム側の設定について確認しておきたい点があります。
- 締切日時をどう設定するか。日付だけでなく時刻まで決めて告知します
- 受付期間の変更が必要になった場合、どう対応するか。事務局側で操作できるのか、提供会社への依頼が必要かで、動けるタイミングが変わります
- 締切前のリマインドを送るか。送る場合、いつ、誰に送るか
- 受付終了後の画面表示。締切後にアクセスした方に何を表示するか
らくらくカンファレンスの演題登録機能では、発表者は受付期間内であれば途中保存と修正ができます。募集の案内で「いつまで修正できるか」を伝える際の前提になります。運営側では登録状況を確認できます。
入力項目はカスタマイズでき、文字数制限の設定や、要旨についてPDFのアップロードとテキスト入稿のどちらにするかを選べます。
システムの選び方については、演題登録システムの比較記事で整理しています。
まとめ
演題の登録期間は、単独で決めずに開催日から逆算して設計します。
- 開催日・査読・プログラム編成・抄録集の入稿から逆算する。査読と抄録集の入稿は、学会によって有無が変わる
- 期間が短いと演者の準備が間に合わないことがあり、期間を長くしても締切前に登録や問い合わせが集中することがある
- 期間を延ばすときは、締切日を後ろ倒しするのか受付開始日を前倒しするのかで後工程への影響が変わる
- 延長できる範囲を事前に確認しておく。どこまで延ばせるかを把握しておくと判断が速い
- 締切は時刻まで決めて告知する。締切後に修正を受け付けるかどうかも募集ページに書いておく
- 発表者に参加登録も求める場合は、演題登録と参加登録の期間を並べて案内する
- 受付期間の変更を誰が操作できるかを、導入前または早い段階で確認しておく
準備から開催後までの確認項目は、学会運営チェックリスト|準備から開催後まで抜け漏れを防ぐ確認項目にまとめています。
らくらくカンファレンスの導入や演題登録機能についてご不明な点があれば、お問い合わせください。
執筆者
平 由紀子
株式会社AGRI SMILE
らくらくカンファレンス カスタマーサポート・セールス担当 / Seeds-Hub コミュニティ運営
年間60件以上の学会運営に関するご相談に対応。学会DXの現場知識をもとに、研究者と企業をつなぐコミュニティ「Seeds-Hub」の運営にも携わる。