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2026/10/6

学会運営チェックリスト|準備から開催後まで抜け漏れを防ぐ確認項目

学会運営チェックリスト|準備から開催後まで抜け漏れを防ぐ確認項目

学会を初めて主催することになった大会長・事務局の方は、「何から手をつければよいのか」「抜け漏れがないか不安」と感じる方もいるでしょう。学会の規模によっては、開催1年以上前から準備を始めます。Phase (フェーズ) ごとに複数のタスクを進める必要があります。

本記事では、学会運営の主要な工程を、開催日から逆算した6つのPhaseとして整理し、各Phaseで確認したい項目をチェックリスト形式でまとめました。以下は本記事で示すモデルスケジュールで、規模・開催形態により前後します。各Phaseで確認したい項目を並べているので、担当や期限を割り当てる際の下敷きとして使えます。

各時期に何をどう進めるかの流れは、学会運営スケジュール完全ガイド|開催12ヶ月前から事後までで解説しています。本記事はその確認用として、担当を割り当てて消し込んでいけるよう、項目を一覧にしています。

1. 全体像: 6つのPhase

学会運営は、開催日から逆算して以下の6Phaseで進めます。

なお学会システムは、①演題登録・査読・参加登録・決済・配信・当日受付などを扱う学術集会運営システムと、②会員名簿・会費・刊行物を扱う会員管理システムの2つに大別されます。本記事で扱うのは①です。

Phase期間 (開催前)主担当
Phase 1: 企画立案12ヶ月前〜9ヶ月前大会長・実行委員会
Phase 2: 予算・システム選定9ヶ月前〜6ヶ月前事務局・会計
Phase 3: 演題募集・査読6ヶ月前〜3ヶ月前プログラム委員会
Phase 4: プログラム編成・広報3ヶ月前〜1ヶ月前広報・プログラム委員会
Phase 5: 直前準備・当日運営1ヶ月前〜当日事務局・現地スタッフ
Phase 6: 会期後・報告開催後1ヶ月事務局・大会長

各Phaseの時期は、大会規模や開催形態などにより前後します。

2. Phase 1: 企画立案 (12ヶ月前〜9ヶ月前)

大会のテーマ・規模・体制を決定するフェーズです。

この時期にやっておくとよい下準備が2つあります。

1つは、関係者(先生方・委員会・システム会社・会場・印刷会社等)の連絡先と、それぞれとのやり取りの「窓口となる人」を一覧にしておくことです。学会運営は関係者が非常に多く、後になって「これは誰に聞けばいいんだっけ」と探す時間が積み重なると、かなりのロスになります。

もう1つは、締切から逆算したタスク一覧(誰が・いつまでに・何をするか)を早い段階で作っておくことです。その後の進行管理が格段に楽になります。

このチェックリストはタスク項目の洗い出しに使えます。担当者・期限を加えた進行管理表と、関係者の窓口一覧は学会ごとに作成します。

このフェーズで注意すべきは、「規模の見積もりを甘くしないこと」です。実際の見積の対象範囲と、規模や要件が変わった場合の追加見積の条件を契約前に確認します。

3. Phase 2: 予算・システム選定 (9ヶ月前〜6ヶ月前)

システムの導入期間は、一例としてカスタマイズなしで1〜2ヶ月、カスタマイズありで3ヶ月以上、要件が複雑な場合は6ヶ月以上をみておきます。案件によって異なります。

具体的な予算計画とシステムベンダー選定を進めるフェーズです。

大会HPは、内容がすべて決まっていなくても、このフェーズで先行公開しておきます。演題登録・参加登録の告知は大会HP上で行うため、登録開始より前に公開しておく必要があり、決まった内容から順に更新していく進め方になります。

見積依頼の実務ポイント

学会運営では、一般的なITシステム調達でよく聞く「RFP(提案依頼書)を出す」というスタイルはあまり見られず、打合せベースで要件をすり合わせながら見積を作成する流れが多くみられます。

なお「収録」は現地会場で撮影・収音して映像化する工程、「録画」はオンライン配信や会議サービス上の映像・音声を記録する工程です。編集やアップロードの方法は案件によって異なります。収録は撮影・編集業者へのシステム外費用になります。録画はオンライン会議・配信サービス側の機能で、追加費用の有無は同サービスの契約内容を確認します。

4. Phase 3: 演題募集・査読 (6ヶ月前〜3ヶ月前)

演題を集めて査読を進めるフェーズです。

このフェーズの各作業は、次の記事で詳しく扱っています。

査読の実務ポイント

100演題以下の小規模学会では、査読機能を必須と考えなくても良い場合があります。演題数・査読者数を勘案して、機能の必要性を判断してください。

5. Phase 4: プログラム編成・広報 (3ヶ月前〜1ヶ月前)

プログラムを固めて広報を開始するフェーズです。

参加証・領収書の発行方法と、システム導入前に確認しておきたい点は、学会参加費の領収書発行システム|導入前に確認しておきたいことで扱っています。

6. Phase 5: 直前準備・当日運営 (1ヶ月前〜当日)

開催に向けた最終準備と当日運営を進めるフェーズです。

この時期に再確認しておきたいのは、次の5点です。

特に会場との最終打ち合わせは、直前になって「聞いていた話と違う」という事態が起きやすい部分です。書面やメールで内容を残しておきます。

名札の印字内容や印刷方式の決め方は、学会名札・ネームカードの印刷準備|当日の受付で詰まらない実務で扱っています。

開催形態別の実務ポイント

現地開催では、撮影・収録や当日オペレーターは、別業者への手配となるシステム外費用になることが多くあります。システム側では名札・参加者データの生成や出力範囲を確認し、物理的な印刷は別手配として見積もります。

ハイブリッド開催では、現地+ライブ配信のほか、現地開催を収録して会期後にオンデマンド配信する方式も選べます。

開催形態別のチェック項目差

Phase 5 のタスクのうち、開催形態によって必要になるものを整理します。

対面のみで開催する場合

オンラインのみで開催する場合

ハイブリッドで開催する場合

上記の両方が対象になります。現地とオンラインで担当を分けておくと、当日の判断が速くなります。

開催形態によって必要になる項目が変わります。収録・録画・オンデマンド配信は、実施するかどうかで判断します。

7. Phase 6: 会期後・報告 (開催後1ヶ月)

会期後の締めくくりを進めるフェーズです。

会場の撤収・原状復帰

会場の撤収は、見落としやすい作業です。

意外と見落とされがちなのが、会場の原状復帰の範囲確認です。机・椅子の配置を元に戻す必要があるか、テープ跡やゴミの処理範囲はどこまでか、会場側と事前に取り決めておかないと追加費用が発生することがあります。

あわせて、忘れ物・落とし物の管理(保管期間・連絡先の掲示)、レンタル機材の返却チェックリスト、看板・のぼりなど大型備品の回収も漏れやすいポイントです。

原状復帰の範囲は、会期後ではなく会場契約の段階で確認しておく項目です。撤収の当日に確認すると、追加費用の話が出てから気づくことになりかねません。

学会の分野や規模によって事情は異なります。

8. 事前に確認したい「抜け漏れ」ポイント

確認しておきたいポイントを挙げます。運営上ありうる例として整理したものです。

抜け漏れポイント発生Phase対処のタイミング
参加者数見積もりのずれ(追加見積が生じる可能性・会場定員超過)Phase 1見積の対象範囲と、規模・要件変更時の追加見積条件を契約前に確認
決済手数料の想定漏れPhase 2予算計画時に、契約条件と費用の負担方法を確認
収録・録画・配信に関する権利確認Phase 4-5演題採択・登壇依頼時に登壇者の同意を取得
座長からのドタキャン対応Phase 4プログラム確定後、余裕を持って代理候補を検討
オンライン配信トラブル対応Phase 5接続テスト+当日サポート体制構築
受付の電源容量不足 (プリンター複数台が同時稼働できない)Phase 5受付機器の消費電力とコンセント数を事前見積
名札用紙の紙詰まり (用紙が想定より厚い)Phase 5本番前に実際の用紙でテスト印刷
当日運営マニュアルの作成が後回しになるPhase 4-5対外的な締切がないため、着手日を先に決めておく
座長・司会への依頼と事前説明の遅れPhase 4演者との調整と分けて、担当と期限を決める
印刷物の最終校正が直前になるPhase 4-5入稿から納品までの期間を先に確認し、校正日を確保する

受付の電源容量不足と名札用紙の紙詰まりも、起こる例があります。たとえば、名札プリンターを複数台同時に動かそうとして電源の容量が足りず、急遽別電源を確保することになった例や、用紙が想定より厚くプリンターが紙詰まりを起こした例があります。どちらも事前のテストと余裕を持った準備で避けやすくなります。

後半の3項目について補足します。

「当日運営マニュアル(受付・誘導・スタッフ配置等の実務手順)の作成」は後回しにされがちです。演題登録や参加登録といった対外的な締切があるタスクは優先されやすい一方、当日の内部運用に関する準備は締切がないため、気づけば開催直前になっている例があります。

座長・司会への依頼と事前説明も、演者との調整に比べて後回しになる例があります。

印刷物も同様です。プログラム冊子や名札などは、演題登録の確定が遅れることを理由に後ろ倒しにしがちですが、印刷会社への入稿には想像以上に時間がかかります。結果として、直前になって修正の余地がほとんどない状態で校正することになり、誤字脱字に気づいても直せない、という事態が起こります。

この3項目には、対外的な締切がないため着手が後ろに寄りやすいという共通点があります。着手日を先に決めておくと、この偏りを避けやすくなります。

これらのポイントは、事前に運営マニュアルに組み込むことで抜け漏れを防げます。

9. まとめ

学会運営は、規模によっては1年以上にわたる長期のプロジェクトになります。Phase ごとに該当する項目を確認しておくことで、開催直前のトラブルを減らしやすくなります。

チェックリストを活用しながら、実行委員会・事務局全体で進捗を共有すると、運営の進行管理に役立ちます。

学術集会運営システムの導入をご検討されている方はぜひお問い合わせよりご相談ください。

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執筆者

平 由紀子

株式会社AGRI SMILE
らくらくカンファレンス カスタマーサポート・セールス担当 / Seeds-Hub コミュニティ運営
年間60件以上の学会運営に関するご相談に対応。学会DXの現場知識をもとに、研究者と企業をつなぐコミュニティ「Seeds-Hub」の運営にも携わる。

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